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《フィクションを食べよう》ケイコ木下のおつまみ4点セット 準備編

ある六月上旬の早朝五時四十一分、十二輌編成の急行列車が仙台駅のひとつ上野寄りの長町駅から北へ向って、糠雨の中をゆっくりと動き始めた。

この書き出しだと機は逃しちゃったか(汗) せめて夏も盛りに入る前に食べたいな。

胡瓜揉み茄子を賽の目に切ってその上に枝豆をはじき醤油をかけた、いわば和風サラダ。微かに湯気を発しつつ初夜に臨む処女のように震えている玉蒟蒻ワサビ醤油を塗られて薄化粧した薄切りの笹蒲鉾

まず、胡瓜もみ。これは普通に胡瓜の薄切りの酢の物を作ればよいのだろうが、ケイコさんが十数分でぱぱっと作ってしまっている旨の記述がある(しかもその間にケイコさんはお風呂に入って化粧までしたってほんまかいな!)ことから、手間のかかる材料は使えなさそうだ。うむむ、これは椎茸とあぶらげでも炙るとするか。

茄子。作中では篤農家のお園さんが開発した「びっくりしたなす」を使っていそうだが、その祖先種とされる実在の「埼玉青なす」は手に入りにくい上、生よりは煮物向けと思われる。ここでは入手しやすさと生食への適性を優先し、府内南部の泉州で盛んに栽培されている「水なす」を採用しよう。もちろん、枝豆を「ザ・豆」ならぬ「だだちゃ豆」にできれば言うことはない(が、さすがにそこまでの贅沢は言わない)。

玉蒟蒻。山形ではスルメを出汁に使って玉蒟蒻を煮込むそうだと聞いて一度うちでも試したことがある。一気にハマってあのときは2-3日に一度作ったっけ。水分を含んで「イカ」に戻った!?スルメも、みりんと醤油の味がしみてこれまたおいしい。
この味が山を越えて宮城や岩手、つまり「吉里吉里人」の舞台周辺にも広がっていてもふしぎではあるまい。ということでこんにゃくとスルメは既に準備済み。
ただ、これは煮込みに時間がかかるので、さすがのケイコも十数分の間に作ってしまうのは無理だろう。おそらくまとめて煮込んだものを常備しておき、必要な分だけ鍋か電子レンジ(あの時代には既に普及していたはず… 決して裕福ではなかったわたしの生家にすらあったのだもの)であたためているものと想像。

そして笹かま。問題は、わが家には塩分摂取制限のある家族がいるので、笹蒲鉾を大量に食べさせる訳にもいかない(しかもワサビ醤油で板わさ仕立てだし!)ということ。ミニサイズの笹蒲鉾がないか、探してみるとするか。

(文中引用はいずれも井上ひさし「吉里吉里人」より)

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